日本仕様の「高弾道ドライバーヘッド」の致命的な欠陥とは、「高弾道性能基準」を満たしていない点にある。
高弾道ヘッドは、「高弾道理論」に基づく仕様で製造され、通常のヘッドとは異なる際だった特徴がある。
最大の特徴は[①最適打ち出し角 ②低スピン量 ③ポジティブ入射角 ④衝撃パワー]性能にある。中でも「高弾道ヘッド」のNO1条件が[最適打ち出し角]とされている。「最適打ち出し角」は[10~18度]とされ、最適化に最も大きな働きをするのが[ロフト角]である。
[打ち出し角]のメカニズムは、ゴルフクラブのヘッドにボールに当たった時に得られる[発射角度]である。[発射角度]は、スイング要素(スピード・軌道)とヘッドのロフト角により形成され、ヘッドスピードの遅いゴルファーほど高い打ち出し角[17~20度]が要求される。
米国の最新実験データーは「最適打ち出し角」と「ロフト角」の相関関係は解明されている。打ち出し角は、ロフト角に2~4度(最大で4度)プラスされた角度しか得ることが出来ない。つまりヘッドスピード40m/sのゴルファーが9度のドライバーを使用した時、打ち出し角は[11~13度]しか得ることができず[高弾道]に必要な最適打ち出し角[16-18度]を得ることができない。
スウィングスピード(HS) | ドライバー平均飛距離 | ランチ角 (最適打ち出し角) | スピン量 | 参考ロフト角 | 適正ロフト・打ち出し角 による最長飛距離 |
60 mph (26.82 m/s) | 120.4 ヤード | 21.78度 | 1818.1 | 13~15度 | 142.5 ヤード |
65 mph (29.06 m/s) | 127.9 ヤード | 20.54度 | 1860.7 | 13~15度 | 163.0 ヤード |
70 mph (31.29 m/s) | 137.7 ヤード | 19.00度 | 2407.5 | 12~14度 | 173.8 ヤード |
75 mph (33.53 m/s) | 158.6 ヤード | 20.60度 | 1976.8 | 12~14度 | 223.4 ヤード |
80 mph (35.76 m/s) | 180.2 ヤード | 18.95度 | 2157.4 | 11~13度 | 221.2 ヤード |
85 mph (38.00 m/s) | 197.3 ヤード | 18.58度 | 2074.5 | 11~13度 | 242.4 ヤード |
90 mph (40.23 m/s) | 218.3 ヤード | 18.43度 | 2129.5 | 10~12度 | 257.3 ヤード |
95 mph (42.47 m/s) | 232.3 ヤード | 17.32度 | 2009.2 | 10~12度 | 274.5 ヤード |
100 mph (44.70 m/s) | 250.8 ヤード | 16.96度 | 2157.1 | 9~11度 | 293.9 ヤード |
105 mph (46.94 m/s) | 266.7 ヤード | 15.97度 | 2361.9 | 9~11度 | 303.5 ヤード |
110 mph (49.13 m/s) | 277.9 ヤード | 15.15度 | 2504.6 | 8~10度 | 320.5 ヤード |
115 mph (51.41 m/s) | 291.4 ヤード | 12.68度 | 2968.9 | 8~10度 | 316.3 ヤード |
120 mph (53.64 m/s) | 298.2 ヤード | 11.15度 | 3257.0 | 7~9度 | 326.85 ヤード |
※上記データは Golfsmith.comより引用。アベレージゴルファーのテスト結果をもとにまとめられたデータ。
日本の「高弾道ドライバー・スペック」は、[ロフト角:8.5~11度]である。
つまり、日本仕様の「高弾道ドライバー」の「打ち出し角」は[11~14度]しか得ることができない根本的な問題を抱えていることになる。プロゴルファー並みのHS45m/秒以上のスキルが無ければ[高弾道]が生まれない商品は「欠陥商品」ではないのか?
日本のクラブメーカーは、何故データーに基づいた商品開発を行わないのだろうか?
実は、「ロフト角12度以上のドライバー」は日本では売れない。日本のゴルファーは見栄やプライドを重視するため、低ロフト表示(9度とか10度)を好む傾向が強い。この為、メーカーは表示ロフトと実測ロフト(リアルロフト)に平均2~3度(最高4度)の[誤差]を設けた商品開発が常識化している。こうした顧客満足度を優先させる商品開発は、不当表示を容認する販売至上主義の業界体質を生み出している。
こうした業界体質からは、[真のゴルフ理論]に基づいた商品開発は軽視される傾向にある。結果、日本の「高弾道ドライバー」は「ロフト角/打ち出し角」の欠陥だけでなく、更に根本的な問題を抱えている。何故、日本の「高弾道ドライバー」は飛ばないのか。それは……高弾道ドライバーヘッドの仕様 2(に続く)
はじめまして。
返信削除1点お教えいただけませんでしょうか?
上記の表の「参考ロフト角」というのは何を指しておられるのでしょうか?
たとえば、H/S 90mph のゴルファーだと理想のローンチアングルが18.43°、ということですから、上記の文脈からいえば、14.43 ~ 17.43°が適正ロフト、となります。
ということは、この「参考ロフト角」と「適正ロフト角」は違うことになりますので、この「参考ロフト角」が何を指しているのか、本文からでは読み取れませんでした。
お教えいただければ幸甚です。